<注>
(7)新唐書と旧唐書について
唐について書いた歴史の本が二つあります。新しい方が新唐書(一○六○成立)、古い方が旧唐書(九四五成立)といいます。
旧唐書の方は、倭国伝と日本国伝の二つに別れています。新唐書の方は、日本国伝だけです。
その理由は、新唐書の成り立ちをのべた文章を読むと、書いてあります。旧唐書の方は、唐の前半(七、八世妃)以前のことに詳しいが、現代、つまり、唐の後半(九〜十世紀)以降のことが詳しくない。そこで現代を中心にした歴史書を作り、現代の(軍事その他の)実用にそなえる、というのです。
右のような立場から、現代に存在する「日本」にしぼり、その国の王朝代々を詳しく書こうとしています。つまり、近畿天皇家の王統の代々を記入しています。
けれども反面中国側から見た、倭国についての歴史はすでに旧唐書に書かれてあり、その史実を必ずしも否定しているわけではありません。
倭国側の伝承を重んじた旧唐書と、日本国側の伝承を記載した。
制作 横田幸男
著作 古田武彦