古賀達也の洛中洛外日記
第557話 2013/05/14

日本最古の国宝「縄文のビーナス」

 今日は東北新幹線やまびこ59号に乗って、福島に向かっています。東北新幹線に乗るのは、今年になってからは初めてです。座席に備えてある雑誌「トランヴェール」5月号に縄文式土器が特集されていました。「〜新潟・長野で知る、見る、感じる〜 感性に響く! 縄文の旅」というテーマですが、何ページにもわたりカラーで掲載されている縄文式土器は圧巻です。「ご自由にお持ち帰りください」と表紙にありましたので、ありがたくいただきました。
 特集の冒頭には新潟県出土の有名な火焔土器が飾られており、その造形美に圧倒されます。次いで、長野県茅野市出土の大型土偶「縄文のビーナス」が載せられています。説明によるとこの土偶は「日本最古の国宝」とのことで、約5000年前に作られたそうです。茅野市の尖石縄文考古館に展示されており、わたしも30年ほど昔に同館を訪問し、見た記憶があります。おなかにはへその緒が表現されており、縄文時代が女性中心の社会だったことが想像されます。
 長野県の八ヶ岳山麓に縄文文化が栄えた背景には、当地から出土する黒耀石が上げられますが、その国内有数の産地として有名な和田峠の近くにある星糞峠(ほしくそとうげ)には縄文時代の黒耀石の鉱山跡があるそうです。この星糞(ほしくそ)とは当地の方言で、黒耀石のことだそうです。佐賀県吉野ヶ里遺跡にも黒耀石の破片が散らばっていましたが、佐賀県では黒耀石のことを「からすんまくら」と呼ばれています。キラキラとひかる黒耀石を「星糞」と呼んだ信州の人々の表現力に、縄文式土器の造形美に相通ずるものを感じました。
 もうすぐ福島駅に到着です。福島で仕事をした後は山形市に行きます。それではまた。


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制作 古田史学の会