古賀達也の洛中洛外日記
第590話 2013/09/01

『旧唐書』の「倭国」と「日本国」(1)

 古田史学・九州王朝説の根拠として古田先生が指摘されたもので最も有力な史料の一つが『旧唐書』倭国伝・日本国伝です。視点を変えれば、近畿天皇家一元史観の学界としては、最も国民に知られたくない史料ともいえます。もちろん教科書にも載りませんし、学界でも真正面から取り上げられることも、近年ほとんどありません。この『旧唐書』倭国伝・日本国伝について、その要点をご紹介します。
 まず最初に学問的に確認すべきこととして、『旧唐書』の史料性格があります。いうまでもなく『旧唐書』は唐(618〜907)のことを記した歴史書で、中国歴代王朝の「正史」の一つとされています。成立は唐滅亡後の後晋(936〜946)の時代です。もちろん、「正史」といっても「正しい真実の歴史」という意味ではありませんから、当然のこととして誤記誤伝や意図的な改訂などもあります。時の権力者の都合や大義名分により書き換えられた記事もあることでしよう。
 しかしながら、交流している周囲の国々のことまで嘘を記す必要はないてしょうし、日本列島の代表王朝が1国(大和朝廷一元史観)なのか2国(九州王朝多元史観)なのかを間違えることは考えにくいでしょう。このことは、古田先生が四十年来主張されてきたところです。(つづく)


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