古田武彦を囲む会名誉会長 中谷義夫
「古代史ブーム」といわれて久しいけれども、これまでは出版者やジャーナリズムによって作られた面が強く、あまりにも一方通行であった。この現状に対して、『古田武彦とともに』の創刊第一集の発刊によって、著者と読者、又読者同志が自立して交流を始め、幸いにして大きな反響を呼ぶことができた。
発刊の所感で、天皇陵、並に陵墓参考地の発堀は今や国際の信義上、ゼヒ実行しなければならない事だと申し述べ、更に事務局長が宮内庁へ問題提起をした。これは、古代史の解明にとって、それらの発堀が是非必要なことであるというばかりか、現代を生きる私達の歴史にとっても必要なことである。
戦前の「現人神」扱いがどのような禍根を歴史に残したかを明らかにし、戦後も「タブー」化されている現状を打破せんと今回特集号を組んだ。
戦後の日本史、とりわけ古代史学界の進歩は著しいが、現行歴史教科書は、未だ問題点が多い。古田武彦氏とともに、現場の教師達の手でその問題点を鮮明にして世に問う。更に戦前の歴史教育がどのように歪められていたか、市民自らの体験を踏まえて問う。
この両者の試みは、教える者(教師)と教えられてきた者(市民)が、ここでは相互に学び合い、時には相互批判をしながらも、ともに真実の歴史を求めることによって一体化されていく過程になればと願う。
教師が、今後二度と戦前のように歴史を歪めて教えるわけにはいかないこと、又市民が戦前のように二度と歴史に無自覚ではないことの両者の宣言である。