『市民の古代』 第10集 へ

ホームページへ


市民の古代 第10集 1988年 市民の古代研究会編
10周年を期して

漕ぎ出す舟

田島芳郎

 『市民の古代』記念特集号発刊おめでとうございます。
 古田武彦氏の研究が深化・発展するのと軌を一にするように、市民の古代研究会もこの十年の間、発展につぐ発展を遂げてこられました。曇りのない目で古代史を学ぼうとするアマチュアの真摯な情熱が、今まさにわが国の歴史学を揺がそうとしています。驚くべきことです。
 藤田事務局長をはじめ、市民の古代研究会幹事の方々の疲れを知らぬ活動には、いつも敬服させられました。『市民の古代』に寄せられた会員諸氏の珠玉の論丈は、常に私の目を開かせて下さいます。『市民の古代』の十年は、日本古代史学界に、その研究のターニング・ポイントを示し続けた十年であったと言えましょう。今やいかに頑迷な大家として、表面はともかく、その内面においては『市民の古代』の成果を無視することはできまい、私にはそう思われます。
 私自身はいたずらに馬齢を重ねたのみで、皆様と共に古代史学の発展に寄与することはできませんでしたが、東京で古田氏の学説を広めたいとする人達に混じって、講演会を準備したりしてきました。確かに流れは変わりつつあると感じます。けれども、現状をもってよしとするわけにはいきません。巷にあふれる歴史書の、なんと理不尽なものの多いことでしょうか。
 漕ぎ出す舟の勢いが強ければ、波もまた高まります。『市民の古代』の戦いは、これからますます熱を帯び、激しくなっていくものと思います。市民の古代研究会の皆様の力強い研究の成果で、歴史学の野が埋め尽くされる日が来ることを願ってやみません。


 これは参加者と遺族の同意を得た会報の公開です。史料批判は、『市民の古代』各号と引用文献を確認してお願いいたします。
新古代学の扉 インターネット事務局 E-mailsinkodai@furutasigaku.jp

『市民の古代』 第10集 へ

ホームページへ


新古代学の扉 インターネット事務局 E-mail sinkodai@furutasigaku.jp

Created & Maintaince by“ Yukio Yokota“