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三角縁神獣鏡の史料批判 --三角縁人獣鏡論 古田武彦
方格規矩式鏡の形式についての一考察 鈕孔の向きに注目して 谷本茂
『新・古代学』古田武彦とともに 第5集 2001年 新泉社
2000 年 6 月 古田武彦 藤田友治 谷本茂
文化庁、大阪府立弥生文化博物館(金関恕館長)のご協力を得て、2000 年 6月 2日に島根県神原神杜古墳出土の「景□三年陳是作」銘 三角縁同向式神獣鏡を和泉市池上町の弥生文化博物館調査室にて実見・調査したので、主に鈕に関して、その概要を報告する。
鏡面直径 : 230 ㎜
銘文 : (41 文宇 左回り) 景□(初?)三年陳是作鏡自有□(経?)述本是亰沛*杜□□(地命??)出吏人[言名]之位至三公母人[言名]之保子宜*孫壽如金石兮
沛*は、三水編の代わりに立心偏。
宜*は、宜の別字。JIS第3水準ユニコード519D
鈕の直径 : 36 ㎜
鈕座の外径 : 47 ㎜
鈕座の内径 : 38 ㎜
鈕の高さ : 鈕座面より鈕頂まで約 15 ㎜
鈕と縁の高さとの関係 : 三角縁頂上面を水平基準とし鈕頂が 2 ㎜上に出ている(高い)。
鈕孔 : 孔の断面形状が一様でない。銘文の「景□三年」側から見た孔を(A)、「吏人[言名]之」の側から見た孔を(B)とすると、(A)の最外部の寸法は高さ約 4.5 ㎜、幅最大約 11 ㎜の少し傾いた方形状の断面であり、右辺に比べて左辺がやや短い台形に近い形になっている。孔の周縁部の処理は比較的きれいである。一方(B)の最外部断面は崩れた方形状で楔に近い形になっている。高さ約 5.5mm(最長)、上辺の最大幅は約 11.5mmで、下辺の底部は幅約 4mmである。鈕孔のくずれは腐食や損壊ではなく製作当初からの形と思われる。現状の孔は貫通状態を保っている。[添付の図面を参照のこと] 鈕表面の仕上がりはあまり良くない。
人獣画像 : 像が鮮明ではなく写真による識別は困難な部分が多い。調査当日、熟視観察を行い、従来の理解で不明な部分を個々に調査した。画像については別途報告する予定である。
調査概要 2
方格規矩式鏡の形式についての一考察 鈕孔の向きに注目して 谷本茂