天は人の上に人を造らず・・・と云へり 総覧へ
藤田友治氏作成『東日流外三郡誌』「人の上に人を造らず、」一覧へ
『東日流外三郡誌』(昭和五八年一二月二五日発行)
20,秋田水月抄 秋田孝季 文化二(一八〇五)年正月元日 五巻 682〜83
水月は手に汲がたく、人の生生流転もまたしばらくも留めがたし。
余が祖、橘家、秋田家の祖、更に和田家の祖に於ても因縁にまつわりて血脈を今に併せしは人世の世襲なり。
日の本の人祖や紋吾露夷土にして、吾等はその血脈に生れたる者なりせば、太祖の阿蘇辺族津保化族荒覇吐族みなながら吾等祖なり。
日本国の現なる歴史に学びては、まさに実相なき神がかりなるに基き、浅猿敷限りにて民心を迷信に誘なむ手段の権制にして、人の上下を造れる作為なり。
吾等が奥州にしては、古来より一族の血脈に於て、人の上に人を造らず、亦人の下に人を造るなし。神なる信仰をして迷信を造らず、亦神を造るなし。
天地水なる原理は天然の神なり。依て、人をして造語作説の神あるべきもなし。大宇宙は人智を遠く及し難き神秘界にて、吾等の住むる地界を宇宙界に当ては一塊の星にて、果は円に尽る也。
荒覇吐之神は宇宙にして天然なり。
人心をして造らる理に非らず。天理なり。法則なり。生死は生とし生ける万物に及び、亦形あるは壊れるの機に至らむ、総て世に金剛不壊なるはなし。
文化二乙丑年正月元日 秋田孝季
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