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藤田友治氏作成『東日流外三郡誌』「人の上に人を造らず、」一覧へ
『東日流外三郡誌』(昭和五八年一二月二五日発行)
4,安東律義法度 安東太郎太夫貞季 建保二(一二一四)年孟春五日 二巻 317〜19
生命を世に受けて五十年の光陰は矢の如し。人身をして世に生々するは安しき事なし。移る事速き浮世の善悪とは、人の行いに依ることばかりなり。
依て、茲に律義法度を以て一族の安住を譲り置き奉る。
律義法度之事
一、安東一族に生を受く者、一毛の事項とて勝手にあるまずく寄合衆に決しべきこと。
一、将にあり、労奴にあり、必ず一族をして争ふべからず。上に謀るもの、下にありて労々の者、互いにむつむを以て生々和合を保つべし。
一、吾等一族の中にありては、権に利をむさぼらず、法に上下の離[隔カ]りなし。
一族の民をして富貧を不問、不平等なるはなく、武士、農奴、商奴、漁奴、工奴、僧侶、神職はその暮し方異にするとも律義法度は鏡の如くしてあやまらず。善悪を審し是を裁判す。
一、侵敵に挙兵せるは、一族皆兵なり。
而るに生命を徒らにして無謀に散らすべからず。敵に当戦しては、利ありてこそ向へ、利非ずして退くべし。かくして戦利謀りに謀りて敵を討つべきを要となし、猪突激怒の独判断ぞ起すべからず。
右、五条を以て安東律義法度の事、能く胆に銘じ、一族共栄互へに救ひ会[合カ]ふべし。
若し是の一条たりとも犯したる者、渡島日高の地に流刑ある者(ママ)と心得て、破律に及ぶべからず。
建保二年孟春五日 安東太郎太夫貞季 華押
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