天は人の上に人を造らず・・・と云へり 総覧
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資料 和田家文書2 福沢諭吉『学問のすすめ』関係 天は人の上に人を造らず・・・云へり 総覧

『東日流外三郡誌』(昭和五八年一二月二五日発行)
5,日高見国実史雑抄 一巻 179〜82

日高見国実史雑抄

 世に生命を得て自から生命を産むは、人の他万物をして同じなり。
 もとより万物生命の源は陰陽の交りに在り、天地の明暗はそれなる顕れなり。生命の誕生には雌雄の混精を以て成り、生命を育むは木火土金水五行なり。生死は生命の輪廻にして魂魄は不滅なり。進化、退化は風土に習ふなり。依て、同類たりとも異変の体格を為す。身体私にして私に非ず。老病は刻に従って起り、光陰は死期に近からむ。依て、心転倒し無常の中に虚無を夢幻に想ふの余り、神なる実在を心に感ずるも真理の救に非ず、ただ苦諦妄想の自慰に等しきなり。
 知らず世に誕生し、死を覚る故に苦悩起りぬ。亦、生々安住を望むが故に欲を起し、欲にして心乱るるなり。心乱るる故に悪行起り、諸々の戒を為せども悪行のつきるなし。是の如く教へたるは荒吐一族にして、荒吐神なる導なりとぞ曰ふ。
 世の創より世の末は永きとも、過ては光陰の一刻なり。人の一生も是の如しと覚つも、生々の為に戦をなし、限りなき華麗なる栄華に更け、権を以て衆を圧し、知謀を以て衆を従へ、反目せるものを謙し、身体不自在なるものを忌しみ、己れのみの栄達に衆を難ぜしむは何者ぞ。
 人は人をして富貴貧賎をつくり、人の上下を位し、なんたる浅猿しき行為ぞ。平等は人と生れしものの生々なるも、国土をして主をなし、衣食住の安養をむさぼるものはたれぞ。是れ総て人の心、知謀な善悪の行為その使途に依れるものなりと、荒吐族は実相万能の神なるイシカホノリカムイに祈りて曰ふなり。
 凡そ、わが日本の太古とは荒吐族語部に曰はしむ処、その伝へに曰はく。
 万物生命の母なるはワタツミカムイ即ち海なる神ぞと曰ふ。万物の生命はやがてイワチツカムイ即ち陸なる神の国に登りて生命を生ませるとこそ曰はれむなり。
 日本国なるを釈解せば、北なるを日高(ひたか)、東北なるを日高見(ひたかみ)、中央なる日本(やまと)、西南を日向(ひむか)と称し、是を神州(かみしま)と日ふなり。
安倍国東の図に見ゆ。

神州国之図

 吾が神州は東北より西南に延び、長さ凡そ一千余里、幅さは凡そ三十里乃至九十里の間にあり。本邦の地位は狭くして且つ長きが故に各地の候、素より同じからざれば寒暑差に習へて草木類を異にして茂り、山里の幸多かりし処なり。海は東無果の大濤をなし、西支那、韓国に至る西海、南琉球に至る南洋、北日不没国に至る氷海らの四海に八方を潮流に廻らし、海なる幸また大なり。
 日高見国とは坂東、古志、東北を曰ふ。
 凡そ、奥州を称する意なり。吾が神州に人の住むる太古に思ふれば、馬、犬を倶せる珍遇志族、鉾や楯を持歩ける南洋人とに区分なし、口語異なり互に漁狩の領権を争い、流血せしも、住むる風土の異なる東北と西南の地位は寒暑の候に依りて人の安住定まれり。
 即ち東北の民族は長く固定なせるも西南の民族は種々雑多の混血なり。而るに日本国に住むる民族の一致せる処は、東海は日出でる海とて彼方には日の国ありと信じてやまざる日輪信仰厚く、先祖は彼の日の国にありと子々孫々に伝へたり。史に曰ふ高天原とは東海の彼方日の出ずる処と日ふなり。
 東日流の語部に伝ふるは右図の如く日輪国を幻想せり。
 日の国の曰さく
 陽炎たる日の国は人の住るところに非ず。
 陰寒たる月星国は寒冷極みて人の住ことあたはざるところに非ず。陰陽相調じて地界は成れり。また万物生命の誕生を得る兆しも創られたり。もとより地界ぞ日輪の分界にして、未だ地底は炎泥残れるゆえに炎泥荒吐く処ぞありて、火の山突如とて誕立せるあり。
 日の国とは石をも溶かす炎熱の焔*界なりと覚つべし。依て日向族なる高天原なる国ぞありと信じべからず。人はもとより万物より進化せし生き物にして一祖なりと覚るべきなり。口語、肌色、眼、頭髪の異なる住むる風土の習化なり。依て、神とは人間の姿に非ず。大宇宙陰陽の作動は候の変異を起し、その域に住むる風土習性に万物自から進と退の化を以て対住に化身せるものなり。是ぞ人の日す祖なる起りなり。図に解く。

焔*は、JIS第三水準ユニコード7130


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『真実の東北王朝』(第六章『東日流外三郡誌』を問う)「神は人の上に人を造らず・・・」

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