<注>
(9)神話と史実について
シュリーマンの発見は、彼自身が予想したよりも、ずっと大きな意義を持っています。
なぜなら
(一)「イリヤッド」(イリアス)だけではなく、地球上の他の地域の諸民族の神話・説話もまた、同じく「史実の核」をふくんでいるのではないか、という問題を投げかけたのです。
(二)この本『東日流外三郡誌』の伝承や古事記や日本書紀の神話・伝承もまた、従来のように「史実とは関係がない」として軽視したり、無視したりすることができなくなったのです。
(三)「聖書の伝えるところだけが事実であり、それ以外の神話・伝承はすべて作り話」と考えてきた、ヨーロッパ・アメリカのキリスト教世界の「常識」は今後、再検討されざるをえなくなるでしょう。
(古田「宗教の壁と人間の未来」<序説>『近代法の論理と宗教の運命』明石書店刊・所収、参照)
和田家文書(東日流外三郡誌)については、『
新・古代学』へ
制作 横田幸男
著作 古田武彦