2012年12月10日

古田史学会報

113号

1、古田史学の会 ・四国
 例会百回記念
 古田武彦松山講演会
要旨 大下隆司

2、「八十戸制」と
「五十戸制」について
 阿部周一

3、『書紀』「天武紀」の
蝦夷記事について
 正木 裕

4、前期難波宮の学習
古賀達也

5、会報投稿のコツ
編集長 古賀達也

6、割付担当の穴埋めヨタ話6
玉依姫・考

 

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第357話 2011/12/06 会報投稿のコツ(1)
第358話 2011/12/07 会報投稿のコツ(2)
第359話 2011/12/09 会報投稿のコツ(3)
第360話 2011/12/11 会報投稿のコツ(4)


会報投稿のコツ

編集長 古賀達也

  最近、ありがたいことに「古田史学会報」への投稿が増えています。ところが、大変申し訳ないのですが、不採用になる原稿も少なからずあります。せっかく会員の方が苦労して書かれた原稿を没にするのは心苦しいのですが、会報を楽しみにされている会員読者のことを考えると、その期待に応えられる原稿を掲載することが編集部の責任ですし、スペース上の制約もあります。
 そこで、せっかく書かれた原稿がより採用されるよう、論文執筆のコツや、原稿採否基準などについて、少し説明したいと思います。 まず、会報採否の流れについて、ご説明します。わたしに送られてきた原稿は、最初にわたしが次の四分類にわけます。

A採用 優れた論文で、次号に掲載すべき。
B採用 採用合格だが、次号でなくてもよい。
C採用 必ずしも採用基準に達してはいないが、会報スペースが空いていれば掲載可。
D不採用 採用すべきでない。

 このように分類した原稿を、編集担当の西村さんに転送し、わたしの判断が適切かチェックしてもらい、両者合意の上で最終決定します。もし、両者の見解がどうしても不一致の場合は、水野代表に判断を求めることになりますが、今まで一度もそのようなことはありませんでした。
 また、投稿原稿とは別に、編集部からの依頼原稿や転載依頼原稿もありますが、こちらは原則としてよほどのことが無い限り掲載します。そうしないと失礼ですから。
 こうした分類により、会報には常に優れた原稿が優先的に掲載されるようにし、読者に読みごたえのある会報を提供できるよう努めています。従って、投稿時期や採用時期の順に掲載されるわけでは必ずしもありません。
 なお、投稿の際にCDやフロッピーのみ送られてくる方もごくまれにあります が、必ず印刷したものも送ってください。
 上記のように、まずABCD分類しますから、自信のある方はABを狙っていただくとして、初心者の方はC採用を狙うことをおすすめします。Cだと後回しにされて、なかなか掲載されないのですが、実は次の点がクリアされていれば掲載される可能性がCでもぐっと上がります。
1.千字以内の短文。
2.新情報が含まれており、読者の興味を引ける。

 編集作業をしていて、少し空きスペースが発生する場合があります。そこにちょうど埋まる短文原稿があれば、C原稿でも掲載されるチャンスが生まれるのです。もちろんAB採用で短い論文であれば、更に優先的に掲載されます。
 さて、「古田史学会報」の投稿原稿は研究論文が中心ですが、その他に書評や地方新聞などに掲載されたローカルでユニークな新情報の紹介なども対象となります。あるいは遺跡巡りや博物館見学の報告などもOKです。
 研究はちょっと苦手という会員の方はこうした投稿に挑戦されてはいかがでしょうか。会報の内容が研究論文中心ですから、意外と掲載されます。ただし、この場合でも字数に留意してください。会報2ページ程度を目安にされると、採用の確率がアップします。
 特に古田先生の新刊書評はかなりの確率で採用されますので、是非ご投稿くだ さい。ただ、書評の場合は会報1ページ以内でお願いします。新刊書評は、内容にあまり差がなければ、早い者勝ちです。
 古田先生の講演録(概略や感想文でも可)に至っては、お願いしてでも掲載したい原稿ですから、大歓迎です。
 これから注目されそうなのがインターネットによる検索情報やデータの紹介です。関西例会で竹村順弘さんが得意とされている「ワザ」で、これなどもテーマ選定やデータ解析の切り口次第では結構面白い記事となります。皆さんの創意工夫をこらした投稿をお待ちしています。
 会報の花形はやはり一面トップ論文です。基本的に投稿原稿の中から最も優れたタイムリーな原稿が一面に掲載されます。読者もそういう目で読まれますから、一面にどの原稿を採用するかは、編集部の見識や力量も問われ、西村さんが毎号悩まれることになります。一面にふさわしい投稿が無いときは、それこそ大変で、常連投稿者に頼み込んで急遽書いてもらうということもありました。

 採用される研究論文の評価ポイントがありますが、特に留意していただきたいことは次の諸点です。
1.最初に何を論証したのかという結論を明記してください。最後まで読まないと何が言いたいのかわからない原稿では困ります。研究論文は推理小説とは違うと言うことをご理解ください。

2.論証の根拠とした史料や文献は必ず出典を明記してください。必要があれば関係部分を引用してください。そうしな いと読者がその新説の当否を検証できませんから。史料根拠が示されていない論文は学術論文の体をなしていません。

3.先行説と自説をはっきりと分けて記述し、先行説の出典も明記してください。学問は学説の積み重ね、あるいは淘汰しながら発展しますから、賛成にせよ反対にせよ先行説にふれない論文もまた学術論文として不十分です。もちろん、先行説が存在しないほどの先駆的研究であれば別ですが。あるいは、説明や紹介の必要性がないほど周知の通説は、省略してもかまわない場合があります。

4.論証と断定を意識的に区別してください。「没」になる理由の大半がこれらが区別されず、自らの断定を論証と勘違いされているケースなのです。「まわりが何と言おうがわたしはこう思う」は断定であり、「誰が考えても、どのように考えてもこうならざるを得ない」という説明が論証です。

5.自説に不利な史料や先行説を無視軽視せず紹介した上で、どういう理由や根拠で自説の方が有力・合理的であるかを、読者が理解できる平明な言葉と論理性で説明してください。

 おおよそ以上の点が審査項目ですが、現実にはかなり甘く判定しています。常連投稿者になると、厳しく審査しますが、初投稿者の場合は、エールを送る意味から甘くしています。
 それから、あれもこれも論証しようとして「大論文」にしてしまう方も見られますが、会報はスペース上の制限がありますので、なるべくテーマに的を絞ったシャープな切れ味の論文が望まれます。どうしても「大論文」にされたい場合は、「古田史学会報」ではなく会誌「古代に真実を求めて」に投稿をお願いします(投稿先:水野孝夫)。
 会報に投稿される古田学派の研究者の皆さん。どうか、学問の命である論証を何よりも大切にした論文を送ってください。たとえその結論に反対であっても、わたしや西村さんが掲載せざるを得ないようなするどい原稿を心からお待ちしています。

編集部 
〒602‐0841
京都市上京区河原町通り今出川下る
    古賀達也 tel/fax 075-251-1571


 これは会報の公開です。史料批判は『古代に真実を求めて』(明石書店)が適当です。

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