2007年 8月15日

古田史学会報

81号

寛政原本と古田史学
 古田武彦

安倍次郎貞任遺文と
福沢諭吉『学問のすすめ』
 太田齋二郎

エクアドルの地名
 大下隆司

伊倉(いくら)
天子宮は誰を祀るか
 古川清久

薩夜麻の「冤罪」I
 正木裕

6古田史学の会
第十三回会員総会の報告
 事務局

 

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バルディビア探求の旅 倭人世界の南界を極める へ


古田史学会報81号 2007年8月15日

エクアドルの地名

菊池栄吾氏 「バルディビア旅行で考えたこと」
(会報八〇号)を読んで

豊中市 大下隆司

 菊池氏の論文において、バルディビアの北方数十キロの所を流れる「AYAMPE」川について、その名前の由来が「アイヌ語のクヤ=私の土地が伽耶(カヤ)となり、それがエクアドルにもたらされ、スペイン語ではKが発音されないのでKAYAMPE→AYAMPE(私の土地)」になったとされています。ただその根拠として次ぎの説明をされていますが、これはスペイン語の解釈としては認められません。
1. Kの発音について(Kは「発音されない」とされている)
・ 本来のスペイン語にKはなくカキクケコはCA,QUI,CU,QUE,COとなります。
・ 但し外来語でKのつく単語(例えばキログラム)があれば、そのままKIROGRAMOと書かれ、発音も(キログラモ=kg)とKをきっちり発音します。
・ スペイン語で発音されないのは「H」です。
2. AYAの意味 (アジァと発音し意味は「あちら」とされている)
・ スペイン語でのAYAの意味は、「養育係の女性形」で発音はどちらかといえば「アヤ」となります。この単語はまず使われないので一般辞書には記載されていないようです。
・ 「あちら」という意味の単語はALLAでこれは「アジァ」と発音します。
 私はAYAMPEというのはスペイン語にまったく影響を受けていないネイティブのインディオの言語に由来していると思います。従って縄文語・アイヌ語とエクアドルの川の名前「AYAMPE」との、スペイン語を介さない直接の関係を調べるべきと考えます。
 中南米におけるスペイン語は本来の発音が大きくくずれて、また地域・階層により、使っている単語、発音が大きく変わって来ています。このためにこのような誤解が生まれたと思います。これから古田先生が持ちかえられた現地の地図の整理作業にはいりますが、インディオの発音とスペイン語表記との関係など難しい問題が出てくると思いますので慎重に進めたいと思っています。


古田史学会報81号

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