2013年10月10日

古田史学会報

118号

1、古田史学の真実
   西村論稿批判
   古田武彦

2、「実地踏査」であること
を踏まえた『倭人伝』の行程
   正木裕

3、「廣瀬」「龍田」記事について
「灌仏会」、「盂蘭盆会」との関係
  阿部周一

4、難波と近江
の出土土器の考察
  古賀達也

5、荒振神・荒神・荒
についての一考察
  服部静尚

6,欠史八代」の実相
  西村秀己

7,書評
朱鳥あかみとり翔かけよ
  不二井伸平

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書評

『朱鳥あかみとりけよ』 

高松たかまつ 康こう

幻灯舎ルネッサンス・1600円

明石市 不二井伸平

 平成二十三年三月十一日、あの東日本大震災の日に、万葉人らしき男二人が、一人は奈良市二条大路南の大型スーパーの入り口付近に、もう一人は奈良県明日香村役場付近にタイムスリップして登場。ターミネーターばりの出現ではなく、奈良県内の病院にそれぞれ息絶え絶えに担ぎ込まれる。この二人を結びつける舞台回しは、同じく男二人。一人は雑誌編集者、その名も飛鳥太郎。これはどうやら著者の高松康さん自身のようだ。もう一人は古代史研究家の志野崎肇。当然古田先生がモデルかなと読み進めていく。
 さて現代にタイムスリップしてきた二人の万葉人の正体は?奈良市の大型スーパーと言えば超有名な古代人の邸宅跡だったことは有名。そう、一人は長屋王だ。いや正しくは長屋親王。もう一人は?その長屋親王のお爺さん、『地震を呼ぶ天皇』、なんと天武天皇!時代を違えた二人が大震災の日にタイムスリップして登場。飛鳥太郎を中心に物語はすすむ。福島原発が既存の学問・学者の正体を暴いたように、二人の万葉人の出現は古代の真実を暴いてゆくかに。そして物語の最後、とんでもない展開に仰天。いや、なるほどそうだったのかと納得。しかしそれは読んでのお楽しみ。そして朱鳥が翔けぬけたあとの爽やかな読後感。皆さん、ぜひ読んでください!
 著者の高松さんは四十年来の古田先生のファンであり、市民の古代、古田史学の会へと続く、古くからの会員さんです。私の出身大学に、高名な数学の先生がおられ、その先生の息子さんだったことがあとからわかりました。四十年前、和算の三上義夫さんの研究で高松さん宅を訪問したこともあったのです。つまり高松さんと私は同郷(岐阜)ということ。これはぜひ書評を書かせて頂かねばと思い立ったわけです。古田史学で古代の真実を知った者には、偽物を下敷きにした歴史小説など屁のようなもの。やっと本物を下敷きにした歴史小説が登場したという気がします。


 これは会報の公開です。

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