沖ノ島出土のカット グラスはペルシャ製 『古田史学会報』編集部(会報157号) ../kaiho157/kai15706.html
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沖ノ島出土のカットグラスはペルシャ製
『古田史学会報』編集部
新聞報道によれば、沖ノ島(福岡県宗像市)から出土していたカットグラス碗片(国宝)が五~七世紀の古代イラク(ペルシャ)製であることが判明した。沖ノ島は九州王朝の海上祭祀の聖地であり、出土したカットグラス碗片は遙々ペルシャから九州王朝にもたらされたものと考えられる。
このニュースにより、『倭国古伝 姫と英雄と神々の古代史』(『古代に真実を求めて』二二集、古田史学の会編・明石書店、二〇一九年)掲載の正木裕氏(古田史学の会・事務局長、大阪府立大学講師)の論稿「太宰府に来たペルシアの姫」が改めて注目されている。同論によれば、『日本書紀』孝徳紀・斉明紀・天武紀に記された「舎衛女」はペルシアの姫であり、九州王朝の都、太宰府に来たとされる。今回、明らかとなったペルシャ製のカットグラス碗片は、このときの九州王朝とペルシャとの交流を示す物証ではないだろうか。
正木説と沖ノ島のカットグラス碗片が結びつき、古代のロマンが歴史の真実として蘇ってきた。
【西日本新聞より転載 2020/03/02】
国宝の切子玉 メソポタミア伝来
―福岡・沖ノ島出土―
福岡県宗像市の宗像大社は一日、同市の世界文化遺産「沖ノ島」から出土した国宝のガラス製品についてササン朝(二二六~六五一年)のメソポタミア(現在のイラク)伝来とする化学組成の分析結果を発表した。これまで産地、制作時期ともに推測の域を出なかったが、初めて科学的に裏付けられた。
東京理科大、岡山市立オリエント美術館との共同研究。組成元素を調べる蛍光エックス線分析で、円形の突起が切り出された容器片「カットグラス碗(わん)片」と細長い形状で中心に糸を通す穴が開く「ガラス製切子玉」を調査した。古代ガラスはローマ帝国でも作られたが、結果はササン朝の「ササンガラス」と組成が類似。碗片は五~七世紀、切子玉は三~七世紀製であるとした。碗片と切子玉は沖ノ島8号遺跡(五世紀後半~七世紀)から出土。碗片は類似品などからササン朝由来とされてきたが、切子玉は一切不明だった。宗像大社の福嶋真貴子学芸員は「8号遺跡の年代と大差ない。できあがって間もなく運ばれた」とみる。今後は伝来ルート、祭祀(さいし)上の意味などの研究につながることを期待する。早稲田大の田中史生教授(日本古代史)は「ユーラシアのガラス交易の始点、終点がくっきりしてきた。日本も含めたシルクロードの実態を考える上でも重要な結果だ」と評価する。(小川祥平)
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