2023年6月13日

古田史学会報

176号

1, 消された和銅五年(712)
の「九州王朝討伐戦」

 正木 裕

2,『播磨国風土記』
宍禾郡・比治里の「奪谷」の場所
 谷本茂

3, 『日本書紀』の対呉関係記事
 日野智貴

4,土佐国香長条里
七世紀成立の可能性

 別役政光

5,九州王朝戒壇寺院の予察
 古賀達也

6,「壹」から始める古田史学 ・四十二
多利思北孤と「鞠智城」の盛衰
古田史学の会事務局長 正木 裕

7,書評 待望の復刊、『関東に大王あり』
古賀達也

 

古田史学会報一覧

「アホ」「バカ」「ツボケ」の多元史観 上岡龍太郎さんの思い出 古賀達也(会報177号)

書評 待望の復刊、『関東に大王あり』 古賀達也(会報176号)


書評

待望の復刊、『関東に大王あり』

京都市 古賀達也

 本年三月の「古田史学の会」関西例会に、古田先生のご子息、古田光河さんが参加され、例会終了後の懇親会にもお付き合いいただきました。亡き先生の思い出話に花が咲きました。ご家族でなければ知らないような先生の一面をお聞きでき、とても楽しい一夕でした。
 そのとき、ミネルヴァ書房から復刊予定の先生の著書が話題にのぼりました。出版不況の最中、光河さんのご尽力により、ようやく復刊に至ったとのことでした。それが、ミネルヴァ書房より刊行された『関東に大王あり 稲荷山鉄剣の密室』(注)です。同書は一九七九年に㈱創世記から出版され、二〇〇三年には新泉社から「新版」として復刊されたという好評の一冊です。
 本書の中心は、埼玉県行田市の稲荷山古墳出土鉄剣銘の多元史観による読解です。その結果、関東にあった古代王権の実在を論証され、論は、熊本県江田船山古墳出土の鉄剣銘、関東の金石文明、『宋書』倭国伝へと及びます。

 歴史研究者に、是非、読んで頂きたいのが巻末の「学問の方法」です。わたしは古田先生から〝学問は方法が大切です。方法を間違えば、結論も間違うからです〟と厳しく言われ続けました。古代史ファン、古田ファンの皆さんに、この一冊を推奨します。
〔令和五年(二〇二三)四月二四日、筆了〕

(注)古田武彦『関東に大王あり 稲荷山鉄剣の密室〈古田武彦古代史コレクション28〉』ミネルヴァ書房、二〇二三年。

 

 

 

 


 これは会報の公開です。史料批判は、『新・古代学』(新泉社)・『古代に真実を求めて』(明石書店)が適当です。

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