2003年10月10日

古田史学会報

58号

1、『平家物語』の九州年号
  古賀達也

2、突帯文土器と支石墓
  伊東義彰

3、太安萬侶その四
苦悩の選択
  斎藤里喜代

4、二倍年暦の世界5
『荘子』の二倍年暦
  古賀達也

5、高天が原の神々の考察
  西井健一郎

6、市民タイムス
善光寺如来と聖徳太子

7、連載小説「彩神」第十話
  若草の賦(1)

8、いろは歌留多贈呈
鬯草のこと
事務局便り


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「古田史学・いろは歌留多」 古田先生に贈呈  鬯草のこと  古田氏が日本思想史学会で発表

「古田史学・いろは歌留多」

古田先生に贈呈

全国世話人 木村賢司

 八月六日に古田先生自宅近くの向日市物集女公民館で、水野代表より古田先生に喜寿のお祝いとして、「古田史学・いろは歌留多」を贈呈した。贈呈には、太田副代表、山内、平谷、木村が立ち会った。先生は最初さほど期待をされていなかったそうですが、内容をみて大層よろこばれました。
 歌留多内容で、コメント頂いた項目は、「て・天孫の降臨先は筑紫の日向(ひむか)」とあるが日向(ひなた)としたほうが良い。「ゑ・エバンスが縄文人の渡洋を補強」とあるが、エバンズとしたほうが良い。補強とあるが、エバンズ説は先生の『「邪馬台国」はなかった』より先の論文で、先生はあとでエバンズ説を知ったとのこと。
 歌留多に解説をつけて、小冊子をつくられては、と私も少し考えていた提案も頂いた。代表はじめ、また会員の皆様の協力を頂けたらと思っています。
  **************
〔編集部〕前号掲載の「いろは歌留多」を次の通り訂正いたします。

(ろ)論の理の→論と理の ※誤植
(て)日向→日向 ※古田氏指摘
(ゑ)エバンス→エバンズ ※古田氏指摘

五七号は訂正済み


鬯草のこと

ちょうそうの こと

豊中市 木村賢司

 歌留多贈呈時の話題の中心は「え・越裳と倭人は周に白雉と鬯草」の鬯草(ちょうそう)とは何か、であった。水野さんが、鬱金(うこん)の現物を持参していたこともあり、鬱金説の是非等で大変興味があった。先生は倭人が自ら神様に献ずる神酒に入れる薬草と言われ、鬱金説は疑問視された。神様に献ずる酒は、一般にはお屠蘇(とそ)である。
 ごく最近、『おもしろ鬼学』山崎泰正著・北斗書房・平成十五年一月十五日第一刷を借りて見ていると、「鍾馗(しょうき)と鬼」の項に屠蘇の話があり、嵯峨天皇時に正月、本中で初めて屠蘇等の薬酒を用いた。中に入れる薬草は、白朮・桔梗・山椒・肉桂・防風・大黄・細幸・麻黄・乾姜とあった。私は桔梗と山椒以外は見たこともない草ばかりである。でも、要するに昔の養命酒だと悟った。ただし、調合を間違えると毒酒にもなるなー、と思った。鬯草はこの中に、あるだろうか。
 別の本、『古代人の心で地名を読む』永田良茂著・有月書房・〇一年十月第一刷では、鬯草を昆布と書かれていた。古田史学の会員の西村さんは、鬯という文字は昔のコメを蒸す「こしき」を表している、これと関連していないかと見ておられる。周の神酒は何酒?倭人の神酒は何酒?縄文コメ酒はあった?・・・
 鬯草談義は、もう少し深めてほしい。と私は願っている。なんといっても、倭人(日本人)が文献に載った最初のもの、であるから・・・。
 ※鬯草のことが解れば、縄文文化、倭人のこころが解る気がする。
          (〇三・八・二八}


十月十八〜十九日 つくば大学春日キャンパス(図書館情報大学)

古田氏が日本思想史学会で発表

 来る十月十八〜十九日、筑波大学で開催される日本思想史学会大会にて、古田武彦氏が研究発表される。同じく本会事務局長の古賀達也氏も発表する。
 大会二日目の十九日午前の部(十時〜十二時、四名発表)で古田氏が、午後の部(十三時〜十七時、六名発表)で古賀氏が発表される。テーマは次の通りである。
□古田武彦氏
 稲荷山鉄剣銘文の新展開について
 ─「関東の磯城本」の拓出と全面調査─
     ※第一会場(一〇五講義室)
□古賀達也氏
 『論語』の二本年暦とその史料批判
   ─伊藤仁斎らの理解をめぐって─
※第二会場(一〇二講義室)
 なお、大会第一日目は午後一時より、「思想を語るメディア─近世日本を例として─」をテーマにシンポジウムが開催される。
<以下略。>


古賀事務局長

長野県松本市で講演

 九月七日、長野県松本市で本会事務局長古賀達也氏が講演を行った(主催 古田史学の会・まつもと、松本市安原地区公民館、本郷公民館)。テーマは「善光寺如来と聖徳太子の往復書簡─九州年号の秘密─」。古賀氏の松本での講演は六月に続き二回目。講演の内容は本号十二頁掲載の「市民タイムズ」(長野県の地元紙)を参照。
 松本市は、古田武彦氏が戦後まもなく高校教師(松本深志高校)をされた、古田史学ゆかりの地である。当時の古田氏を知る教え子諸氏を中心として「古田史学の会・まつもと」が活動されている。
 なお同会は本会とは独立した別団体で、本会等と共に『新・古代学』の協賛団体に名を連ねている。


事務局便り

▼東北、北海道と大地震が続いている。被災地の会員の皆様には心よりお見舞い申し上げます。
▼古田先生は無事ロシア(沿海州における言語調査等)から帰国された。数多く新発見があったと聞く。発表が楽しみだ。
▼古田先生のお薦めにより、日本思想史学会(筑波大学)で『論語』の二本年暦について発表することになった。日本思想史の視点からの発表とするため、伊藤仁斎や荻生徂徠について猛勉強中。
▼この六月、九月には松本市で講演させていただいた。松本深志時代の古田先生の教え子等諸兄から厚いおもてなしを受けた。深謝。同校の旧校舎も案内頂いた。校長室からは岡田甫先生が出てきそうな雰囲気だ。
▼ミネルヴァ書房特別企画として「ミネルヴァ日本評伝選」の刊行が開始された。歴史上の人物二百名以上の伝記という大型企画だ。その中の最古の人物「卑弥呼」を古田先生が執筆担当される。古田説への評価が着実に高まっている証だろう。発刊が待ち遠しい。
▼来年六月の創立十周年行事へのご協力を宜しく。@koga


 これは会報の公開です。史料批判はやがて発表される、『新・古代学』第一集〜第八集(新泉社)、『古代に真実を求めて』(明石書店)第一〜十集が適当です。 (全国の主要な公立図書館に御座います。)
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