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ミネルヴァ日本評伝選

俾弥呼ひみか

鬼道に事え、見る有る者少なし

ミネルヴァ書房

古田武彦

ミネルヴァ書房版、評伝選・『俾弥呼』　　正誤案改訂　2013.11.1


頁	行	誤	正	参考事項
xiv	-1	「二倍年歴」に気づかず	「二倍年暦」に気づかず	目次のみ2015.0訂正
21	2	「南」と『東」と	「南」を『東」と
32	3	十二～十三世紀の唐・宋	十～十三世紀の宋・元	●先生と調整のこと
49	-4	四周	四辺
49	-3	二周	二辺
50	-4	伊都国に至る。	伊都国に到る。	第１版のみ
88	-4	「その他　大較」	「その地、大較」	第１版のみ
106	-4	「カミ」とはとは	「カミ」とは	第１版のみ
125	2	を中心する、八島国	を中心とする八島国	●先生と調整のこと
134	5	（ミカマキ）	（ミマカキ）	第１版のみ
192	-1	車軌の及ぶ所、	足跡・車軌の及ぶ所に非ず、	●先生と調整のこと
193	6	漢氏の如し	漢氏の故事の如し	第１版のみ
198	-3	車軌の及ぶ所、	足跡・車軌の及ぶ所に非ず、	●先生と調整のこと
224	3	岩波文庫（七一ヘ゜ーシ゛）	『新訂　魏志倭人伝他三篇 -- 中国正史日本伝(1)』	（本の題名不明）
266	4	なぜか。	なぜか。（訂正、別記）吉武高木遺跡からは絹が出土しているのを著者失策	（著者指示による）
289	-4	三角縁神獣鏡論	三角縁人獣鏡論
300	-10	天の下治らしめしき。	（もっと続く？）　（その兄・・・眞若王）タイプ抜け？＋P307,-5以下が続く	（開化記はもっと長い）
307	6	若倭根子日千大毘毘命	若倭根子日子大毘毘命
307	-5	伍拾漆歳。	伍拾漆歳。御陵は・・にあり。（と続く）
307	-5	御次に（以下長文）	（次に以下の長文は開化記）	P300に続く部分か？
313	-7	オオチクシタラシヒコオシヒト	オオチクシタラシヒコクニオシヒト	振り仮名
313	-6	オオチクシヒコフトニ	オオチクシネコヒコフトニ	振り仮名
315	-7	ヒコユミスミ	ヒコユムスミ	振り仮名
319	-6	六七二年	六六二年	（白村江戦）第１版のみ
340	-8	｢前六六〇の年｣	｢前六六〇年｣	●先生と調整のこと
376	3	二十四史百衲本）	宮内庁書陵部蔵）	第１版のみ
378	5	郡支（ぐんき）国	都支（とき）国	●先生と調整のこと
382	3	黄幢（こうどう）	黄幢（こうどう）（憧は幢に修正）	●先生と調整のこと
392	6	杵築（フリカナ：きずさ）	杵築（フリカナ：きずき）	第１版のみ
403	-6	邪馬壹国と家	邪馬壹国と冢
地名索引6,7		アラウーシ゛ョ,フェレイラ	（人名索引へ）	左２項は地名でなく人名

下記参考意見あり
173	-1,-2	インディアン	ネィティフ゛アメリカン	差別語？

【頁】【目　次】

i　はじめに

001　　序　章　俾弥呼ひみかの実像とは

001　『「邪馬台国」はなかった』　難升米なんしめをいつ派遣したか　俾弥呼は日本語を話していたか　倭人伝の固有名詞の“訓み”　三十国　倭人伝の「官職名」　「狗奴こぬ国」の存在　会稽東治かいけいとうちの深相　三国志序文の発見　学界に無視された誤差論　日本から世界へ　天子の居所　俾弥呼と崇神の間

015　　第I部　倭人伝に描かれた古代

017　　第一章　研究史の回顧

１　「邪馬台国」研究の開始
017　松下見林　新井白石

２　明治以降の研究
019　白鳥庫吉と内藤湖南　銅鏡百枚　絹と錦

３　上代特殊仮名遣の圧力
024　甲類と乙類　「壹いち」と「臺たい」　上代特殊仮名遣の「弱点」

４　邪馬壹国への出発
027　論証の重要性　意外な結果　「壹」の用例

０３１　　第二章　邪馬台国より邪馬壹国やまいちこくへ

１　その国名
031　陳寿は「邪馬壹国」と書いた　「邪馬台国」は松下見林に始まる　親鸞研究での経験　学問は大勢に従うことに非ず

２　女王の名
035　陳寿は「俾弥呼」と書いた　俾弥呼の訓よみ　「ヒミカ」とよむ　「ヒミカ」の意味　「甕依姫みかよりひめ」の伝承

３　「邪馬台国」の源流
039　再び、松下見林と新井白石　「臺」という字のもつ意味　史書の書かれた時期　大義名分論の影響

045　　第三章　女王国への道

１　里程列伝
045　女王国は博多湾岸にあり　自明の問題　部分と全体の道理　対馬と壱岐の里程記事　半周を里程計算に加える　里程計算が合った　沈黙し続ける学界　俾弥呼の年齢

２　倭人伝解読の三命題
055　「倉田命題」「都市といち命題」　「都市」は音訓併用の名前　難升米は「難」という姓か　「都市」は職能だったのか　「都市」という意味　俾弥呼は国書に音訓併用を使った　「令支れいき命題」

３　一大国と対海国の証明
066　「一大国」を求めて　「対海国」を求めて　「対海国」と「対馬国」の違い

４　任那と文字伝来の真相
070　「任那」から分かること　文字伝来はいつか　三世紀には文字を使っていた　「日出ずる処の天子」を記録した背景　中国史書の大義名分

５　戦中遣使の真実性リアリティ
074　景初二年か三年か　五つの疑問は戦中だからこそ　なぜ詔書が掲載されたのか

６　「松浦水軍」の秘密
079　俾弥呼の使者たち　公孫淵の存在　魏の公孫淵討伐　都市牛利といちごりらの軍事協力

７　「会稽東治」の重大性
083　「治」か「冶」か　陳寿の書いたこと　「会稽東冶」はありえない　「郡」と「県」　范曄の誤り　「邪馬臺国」との連動　里単位の問題

８　漢字と日本列島の絆きずな
093　訓みをめぐる問題　古代と現代の日本語は同じか　陳寿の記した日本語　陳寿の記した「ヤマ」　「ジャバ」とは訓めない　三世紀以前の日本語は南朝音　日本語の原則は変わらず

１００　　第四章　邪馬壹国の真相

１　「三十国」の訓み方
100　邪馬国　邪馬壹国　「伊邪いや国」

２　邪馬壹国表記の真実
104　「山島」と「邪馬」　「壹」　「チ」について　大義名分論の罪　「ヤマイチ」とは何か　高祖山　天孫降臨

３　「三十国」の探究
111　「三十」について　「二十一国」　「蘇」の字をもつ三国　「対蘇国」　「好古都こうこと国」　「躬臣くし国」　「ヤマト」という地名　「鬼き国」　「鬼奴きの国」　「斯馬しま国」　「已百支いはき国」　「井原」のよみ方　「弥奴みぬ国」　「不呼ふか国」　「姐奴そぬ国」　「呼邑かいふ国」　「巴利はわ国」　「支惟きい国」　「奴ぬ国」

４　「郡支ぐき」国の解決
125　二つの紹煕本　「郡支」国

129　　第五章　倭人伝の「官職」

１　対海国・一大国と投馬国
129　「卑狗ひこ」　「卑奴母離ひぬもり」　「伊都国」の官職　「奴国」の官職　「投馬つま国」の官職

２　女王国の官職
133　「伊支馬いきま」　「弥馬升みまし」　「弥馬獲支みまかき」　「奴佳[革是]ぬかて」
　　　　　[革是]は、JIS第３水準ユニコード97AE

３　「一大率」の真義
136　最も重要なテーマ　「率」の意味　「一大率」は一大国の軍団の長　「伊支馬」と「一大率」の異同

４　「狗奴国」の論証
141　官職名　「狗奴国」の位置　後漢書での記述　里程単位

145　　第六章　裸国・黒歯国への道

１　新たな「里程記事」
145　第二の里程記事　司馬遷の史記　班固の漢書　陳寿が執筆した目的　従来の邪馬台国論の欠落　「侏儒国」という名前　「侏儒」という表現

２　裸国と黒歯国への到達
151　フンボルト大寒流　裸国・黒歯国は倭人

３　青木洋氏との邂逅
156　青年の経験　「父の愛」

４　「火山爆発」と反論
159　メガーズさんからの依頼　硫黄島の爆発　考古学者の反論　関東の縄文土器　箱根山の爆発

５　バルデイビアと日本
164　倭人伝からのヒント　エクアドル　チリ北部

６　「倭語地名」の分布
167　「黒歯国」の表記　「裸国」の表記　ペルーの存在

７　黒歯国への訪問
170　「裸国」「黒歯国」の重要性　現代科学による証明　無視されてきた「裸国」「黒歯国」

８　日本語の沃野
172　日本語由来の地名　南米に残る日本語地名　現地の気候　チチカカ湖への予断　現地での意味　インカ以前の言葉　オロチ語

９　エクアドルの新世界
181　「マナビ」　「ハマ」「トリ」　その他の類似点　陳寿の真意

188　　第七章　「三国志序文」の発見

１　三国志の原点
188　三国志中の二つの序文　もう一つの序文　陳寿の不運
　
２　序文の「歪ゆがみ」と実体
192　実体の検出　陳寿は漢書を意識した　漢書の一文と対応　太陽が昇る場所　「大海」という地名　

３　「三国志序文」の深相
198　「殊方」問題　「方」という概念　江東の領域を示す「方」　倭人伝の「方」　范曄の「錯覚」

205　　　第II部　新たなる古代日本

207　　第八章　邪馬壹いち国研究の新たな世界

１　「闕けつ」と「臺」の落差
207　「壹いち」という文字　「闕けつ」という文字　「闕」の使用例　倭国の使者は魏の天子に会えず　鮮卑や穢*の使者団　壱与いちよの使節団
　　　　　穢*は、禾編の代わりに三水編。JIS第３水準ユニコード6FCF

２　「十日」と「二十日」の同一
213　木佐命題　日数の数え方　二種類の日程記事

３　「倭人」の淵源
219　なぜ「倭人伝」か　海士あま村の「天日」　「九夷」の真実

４　「日出ずる処」の論証力
221　倭人の情報　七世紀の目　推古天皇は「多利思北孤たりしほこ」なのか　記紀に出ない名前　「多利思北孤」の所在地　「神籠こうご石山城」　神籠石の設置者は近畿天皇家に非ず　九州王朝を隠滅した近畿天皇家　三世紀と七世紀の関わり　歴史は多数説が正しいとは限らない

５　歴史の革命　ーー「被差別部落」の本質
234　語られない「被差別部落」　火照命の服従　奉仕する守護人　高句麗の好太王碑　転換の一線　天皇家の征服　差別に遺存する「伝承」

242　　第九章　女王の知られざる生涯

１　倭人伝と筑後国風土記
242　『三国志』での人物像　女王の「上表文」　女王の年齢　景初二年以前の女王　「筑後国風土記」に見る女王　吉野ヶ里遺跡との対応

２　『東日流つがる〔内外〕三郡誌』のヒミカ
248　『東日流〔内外〕三郡誌』　物部蔵人による文章　省みられない史料　未知のヒミカ　「山門」とは　ヒミカの住居は　「倭」の字をめぐって　盲目の語り部

３　俾弥呼の墓
257　墓の大きさ　長さの単位　陳寿の使った単位　孔明への陳寿の敬意　陳寿は俾弥呼も讃美した　背景には文帝の意志も　文帝の思想の核心

４　「冢ちょう」と「廟びょう」
264　遺物への注目　倭人伝にみる「絹と錦」　布目順郎氏発見の錦　「くみひも」に注目　印鑰いんやく神社　「廟」という表現　隠された女王の死　香椎宮の「廟」　廟の意味

５　誤差論とキ*鳳きほう鏡
274　一里は何メートルか　谷本茂氏と棟上寅七氏の分析　女王国所在地の結論　須玖岡本遺跡の墓は誰か　キ*鳳鏡という証拠　従来説は成り立たない　遺物の色は
　　　　　　キ*は、JIS第３水準ユニコード8641

281　　第十章　倭人伝の空白

１　「三十国」と「百余国」との間
281　真の探究　倭人伝が暗示する国家変動　三十国は親魏国か　記された人数は捕虜か　呉滅亡に伴う倭国混乱

２　崇神天皇の「創建」
290　崇神天皇は実在したか　騎馬民族征服説　騎馬民族征服説は成立しえず　倭人伝「予告」問題　「欠落の三十一年間」に何があったか　崇神の出身　御真木　孝昭天皇　祭祀のシンボル　任那から大和へ　旦波征伐問題　建波邇安王の反逆

３　削偽定実
310　倭人伝と古事記の接点　「倭」の“訓み”　古事記に見る「倭」　「倭」の使われ方　「十一王」は誰か　「削偽定実」とは何か　「削偽定実」は校正作業に非ず　古事記序文の信憑性　二重のカット

４　俾弥呼と孔子の断絶
324　思想史上の展望　「鬼道」の「鬼」とは何か　「会稽東治かいけいとうち」記事の隠された意味　甕依姫みかよりひめの伝承　「日吉神社」に見る祭祀　崇神は俾弥呼を知っていた　孔子の思想とは異なる敵祭の淵源　「敵祭」という日本の伝統

333　第十一章　「万世一系」論の真相

１陳寿の誤認
333　わが恩師、陳寿　「二倍年暦」に気づかず　後世への歪み　「日本書紀」編者は倭人伝を見た　日本書紀編者は無批判に転用した　二つの史書における王朝の断絶　継体天皇の寿命　神武天皇の即位はいつか
　　　　　　「二倍年歴」は、「二倍年暦」の誤植、訂正済み

２　古事記の誤認
342　五百八十歳説　五百八十歳説の真相　「万世一系」に非ず

３　「武烈悪逆」の歴史的意義
346　私の根本方針　武烈紀の記事　武烈と継体の間　「武烈悪逆」の理由　津田左右吉の「造作説」　戦後史学の欠陥

355　第十二章　学問の方法

１　「村岡命題」の提示
355　本書の「俾弥呼」はなぜ従来説と異なるのか　村岡典嗣先生の教え

２　日本古典とバイブル批判
357　聖書に見る「神」　「キリスト教単性社会」という経験　旧約聖書の「神々」　バイブル創世記の原型　真実の歴史学を

365　巻末資料

389　関連著作

407　おわりに

411　俾弥呼年譜

1～7　人名・事項・地名索引

図版写真一覧

カバー写真　魏志帝紀（斉王紀）（紹煕本）とキ*鳳鏡（東京国立博物館蔵／Image:TNM Image Archives）
口絵１頁　須玖岡本遺跡（福岡県春日市）（春日市教育委員会提供）
口絵２頁　須玖岡本遺跡より出土した（東京国立博物館蔵／Image:TNM Image Archives）
口絵３頁　須玖岡本遺跡より出土した絹房の房糸の縦断面（布目順郎『目で見る繊維の考古学』染織と生活社、一九九二年、より）
口絵４頁　吉野ヶ里遺跡（佐賀県神埼市、神埼郡吉野ヶ里町）( ©YOSHITSUGU NISIGAKI/SEBUN PHOTO / amanaimages)
XIX 　邪馬壹国中心部（古田武彦『盗まれた神話』ミネルヴァ書房、二〇一〇年、より）
052　倭人伝の里程図（古田武彦『「邪馬台国」はなかった』ミネルヴァ書房、二089　「会稽東治の東」に相当する領域図（古田武彦『「邪馬台国」はなかった』より）
110　高祖山（西坂久和氏撮影）
150　侏儒国への道（古田武彦『「邪馬台国」はなかった』より）
153　倭人の太平洋航路とコン・ティキ号ルート（古田武彦『「邪馬台国」はなかった』より）
162　世界各地で測定された高海面期の古海面の年代と高度（町田洋『火山灰は語る』蒼樹書房、一九七七年、より）
163　箱根新期火砕流噴出期のテフラの分布図（町田洋『火山灰は語る』より）
185　トリタ地区出土品（大下隆司氏撮影）（『なかったー真実の歴史学』第五号、ミネルヴァ書房、二〇〇八年、より）
217　伊都国・投馬国関係地図
229　神籠石分布図（森貞次郎『北部九州の古代文化』明文社、一九七六年、等によって作図）
246　吉野ヶ里遺跡（横田幸男氏撮影）
249　「寛政五年七月　東日流外三郡誌　二百十巻飯積邑　和田長三郎」（寛政原本）（『なかった真実の歴史学』第三号、ミネルヴァ書房、二〇〇七年、より）
267　北部九州、絹の分布図（古田武彦『吉野ヶ里の秘密』光文社、一九八九年、より）
273　香椎宮（西坂久和氏撮影）
298　二つの青銅器圏（考古学集刊　第二巻第四号等によって作図）